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知樹を指して囁かれる嘲笑に、本人は何も気づかないまま、ずっと柱にしがみ付くようにジッと立っていた。
(やっぱり…やるしかない)
殺意が湧いたのは、これまでも何度かあった。
両親の愛を独り占めにし、知樹の友人も何もかも持っていく弟が昔から憎かった。
それを表に出さないように気を付けていたが、しかし、今度ばかりはやはり我慢できない。
絶対に、矢島だけは渡さない!
知樹は、強い決意を固めた。
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