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僕は、いつも二番だった。
学校の生徒会長選でも二番、クラスの成績でも二番、体育でも常に二番、家でも…二番だ。
ルックスは良い方だ。頭だっていい。
なのに、いつも二番だ。
二番、二番、二番!
どんなに頑張っても、絶対一番になれない。
親の愛情さえも、常に二番だ。
たしかに、弟の一喜は僕よりも出来がいい。
可愛いし、頭もいい。機転も利いて頭の回転も速い。
でも、それをちっとも鼻にかけない賢さがある。
だけど、そのせいで僕はいつもナンバーワンになれない……。
あいつが、生意気で嫌われるタイプだったらよかったのに。
本当に弟は利発で誰からも好かれる。
せめて、その優秀さを根拠に、プライドの高い傲慢な性格にでもなればよかったのに。
そうしたら、誰にでも好かれるなんて事にはならなかったハズなのに。
劣等感だらけの僕と違って、人格者の弟には、そんな気配は微塵もない。
ズルい…と、思ってしまう。
実の弟に、嫉妬というどす黒い感情を抱いてしまう。
こういう考え方や、そう思ってしまう自分が心底嫌いだ。
だけど、しょうがないじゃないか!
僕が、いつも二番手なのにも、何とか妥協しようと努力した。
生徒会長選で敗れた結果にも、「相手の方が僕よりもよっぽど生徒会長に相応しいよ」と笑ってエールを送り、クラスでも「彼の方が僕よりも努力しているし、結果は妥当だよ」と拍手を送り、体育でもトップに向かい「君がチャンピオンで納得さ」と空々しい笑みを浮かべて褒め称えた。
努力の甲斐あって、僕は「いい人」としてそれなりに人気者だが…。
でも、いつもトップじゃない僕の存在感は空気のように薄い。
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