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少しの光も漏らすまいと雨戸も全て閉じられた密室の隅で仄かに光る洋燈が互いの姿を映し出していた。
やんわりと光る橙色の側で組み敷かれた男の体躯が揺れる。
「...やぁ....あっ...待っ..てぇ..」
繋がった下半身を打ちつける度に発せられる声。
その声にもう一人の男の喉がゴクリと鳴れば目の前にある細腰を掴んだ指先に力を入れ更に激しく打ちつけてきた。
「あああっ...」
「ははっ...待つも何もっ...お前が俺を咥えこんで離さねぇんじゃねぇか...此れが好きなんだろうがっ...オラっ...」
そう云うと男は嗤いながら己の男根を無遠慮に突き刺してくる。
動かない左足に痛みを感じるも打ちつける男は何も気にしない。
ぐさりぐさりと責め立てるような動きに反射的に逃れたいと下半身を動かしたが、がしりと腰を掴まれていた為に叶わなかった。
「...はっ...何だ?...そんなに動かして..っ...善いトコロでも見つけようってかっ? ...」
自分の下で動く下半身が愉快なのか打ちつける腰を止める事なく男は嗤っている。
その言い様に組み敷かれた男は酷く馬鹿にされたようだと感じ、悔しさから唇を噛みしめた。
「...なんだあ?...一丁前に睨みつけやがって...」
無意識のうちに見上げていた瞳に鋭さが混じったのであろう。男の言葉で気がついた。
しかしながらもどうすることも出来ずこの時間が過ぎるのを只管男の下で我慢する。
涙が滲んだ気がしたが気にしなかった。
ぐさりぐさりと挿入を繰り返される度に体躯は揺れ、頭の奥に火花が散る。
赤く染まる脳内では聞こえもしない警戒警報のサイレンが鳴っていた。
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