謎の円盤

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 宇宙空間が映し出された。その中をH型の翼をもった戦闘機が縦横無尽に飛んでいる。それを追跡するように飛んでいるのはX型の翼の戦闘機だ。後方からX型が砲撃し、H型は大破した。金色のロボットが歓喜の声を上げたところで、映像は途切れた。 「これは、宇宙戦争の様子を記録したものかな……」 「と言うことは博士、この文明は、異星人との戦争に敗れて滅んでしまったということでしょうか?」 「そうだとしたら、この星は勝者の手に落ちたことになる。つまり異星人に支配されたということだぞ」 「じゃあ、ひょっとしてこの遺跡は宇宙人のもの?」 「その可能性もあるが、それならそれで、宇宙船やロボットを作れるほどの高度な文明がなぜ滅んでしまったのか、謎は残るよ」 「そうですね」 「と言うことで、ほかのデータも見てみよう」  ジョーンズが促すと助手はさらにディスクを入れ替えた。 「ああ。これも動画ですね。やはり完全ではないですけど……」  モニターに突然、狂ったような人間の顔が大写しになった。びくりと戦きながらも、二人は画面を注視する。  それはどうやら病気に感染した者の顔だとわかった。それは感染者に噛まれることで染るらしい。噛まれた者はやがて発症して狂暴化し、さらに他の者を噛むことで病気は広がっていく……。  地獄と化した街並みが映し出されたところで動画はフリーズした。  それをじっと見据えたまま、ジョーンズは生唾を飲み込んだ。 「恐ろしい病気だ。きっとこれが文明崩壊の原因だよ。治療法が見つからぬうちに、全世界に広まったんだ」 「と言うことは博士、発掘作業を続けても大丈夫でしょうか?」 「どういうことだ?」 「だって、この病原菌が、遺跡の中でまだ眠っている可能性も……」  それを聞いたジョーンズは慌ててテントを飛び出すなり、穴の底に向けて大声で叫んだ。 「発掘作業は今すぐ中止だ!すぐにそこから出ろ!」  作業員たちは何が起こったのだと言いたげに顔を上げた。彼らは大きな板状のもの掘り起こしている最中だった。そこに古代文字が並んでいるのが見て取れた。それは、「T」「S」「U」「T」「A」「Y」……といった形のものだった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加