セイショクシャ

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「湯も頼めるだろうか」  食事を食べながら聞く。 「先に? 後かい?」 「出来ればどちらも」  食事を済ませると全裸になって、女に身体を洗わせた。  女も裸にして、濡れたままタライの中で自分の上に座らせた。  田舎の女らしく健康的に日焼けした腕に、肉付きのよい白い胸と腰。弛んだ腹もなまめかしく揺れる。  キリエルの華奢で白い身体がほんのりピンクになっている。  喘ぎながらも冷静に商売をしていた女が、そろそろ仕舞いにしようとはかったところで焦りだす。 「お放し」 「どうしたの?」  わかっているのに気付かないふりで言う。 「何もつけていないじゃないか」  離れようとする女の腰をしっかり掴む。 「まだ子をなせる身体なのかい?」  そうだと知っているのに言う。  キリエルは子をなせるか、病はないか、魔術で調べてから行為に及ぶのだ。 「ならば俺の子を産んでくれ」 「やめとくれっ」  嫌がられて興奮する。  冷静な女が余裕をなくす場所を探して攻め続け、正体なくす頃に解放した。  力尽きた女を寝台に運んで、自分は身体を清めてからしばし眠りについた。  日が暮れる頃、女に叩き起こされたが、キリエルが甘えたように口づけると、女は真っ赤になって夜明け前に出て行くように言って店へと戻っていった。  困ったことにコトの最中に嫌がる態度を見せながら、キリエルの若さと美貌と技とにほだされて、甘えさせる女がいるおかげで、キリエルの思い違いは強化されていく。  感じさせることが出来れば、女の心は自分の虜になると信じていた。  それは父のハーレムで女たちにかしずかれ、ちやほやされて育ったせいでもあった。  キリエルが唯一の皇子であり、太子を廃されてもなお皇位継承順位が筆頭のままなのもまた彼が己の行いを省みない由となっていた。  しかしそんな甘やかしてくれる女に縛られるのは好まず、宿の女が再び起こしにくる前に、夜明けよりはるか早い時間に宿を出て、町を後にした。
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