4 明かされた秘密

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「じゃあ僕にもヒントをちょうだい。それでもやっぱり自分には、ラブレターだって分からないと思うけどな。お父さんと違って、僕にはそういう才能はないからさ」 「とんでもない。大変優秀じゃないか。自慢の孫だよ。わたしたちもおまえの将来に期待しているんだ。この手紙のやりとりで愛を深め合った後、わたしとおばあちゃんは駆け落ちをした。それから二人だけの生活をしていくのには、周囲の邪魔もあったりして、かなり苦労もしたけれども、今はもう完全に縁を切っているし、昔と違って自由な時代だ。おまえならば自分の持てる才能を思う存分発揮して、すばらしい未来を築き上げていってくれると確信しているよ」  発揮してたまるか。これで祖父母の親密さの謎が判明したけれども、きわめて異常な愛情である。できれば隠しておいてほしかった。 そもそも二人の生まれが金持ちだったというのも怪しい。彼らが縁を切ったのではなく、二人とも変態だったせいで、両親から勘当されたのではないか。  場合によっては僕だって、この一族と縁を切ってやる覚悟だ。  変態祖父から目を逸らせると、変態手紙に眼が落ちてしまった。
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