4 明かされた秘密

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「そうそう、ヒントだったね。一番最初に読んだ手紙があるだろう。その末尾におばあちゃんが示してくれている。たとえ反対から読んだとしても分かるぐらい、何度も何度も見返すこと。これが注文だと書いてあるはずだ」  僕はしぶしぶ、指定の手紙を見直してみた。確かに祖父の言う通り書いてあるけれども、そんなことは不可能だろう。ただの言葉の綾であって、むしろ嘲笑する意味すら含まれている。 「わたしはおばあちゃんの言う通りにした。数えきれないぐらい、何度も何度も読み返したよ。そうして最初から全て暗唱できるようになったんだ」  と、祖父は朗読を始める。確かに手紙の文面と一字一句違わない。  大したものだと思ったけれども、やはりこれも異常な性癖が成せる業だろう。読んで快感を覚える文章なのだから、覚えても当然である。 そう考えて、ふと閃いた。反対から手紙を読めば、何か別の意味が含まれているように書いてあるのではないかと思ったのだ。 封筒から全部の手紙を取り出した。そうして最初から最後まで順番に積み重ね、端を揃えて整える。すると紙の束はまるでノートのようにきっちりとまとまった。 手紙を逆さまに読み始めた。けれどもやはり意味を為さないように思える。それでも繰り返し文字を目で辿っていると、祖父が朗読を中断して、呪文のような言葉を述べ始めた。 「ぐいけ。てけつをきおにだらかお。らなうよさ。うょしでいなもとこうあとどにうも……」  手紙を逆さまに朗読している。そっちも暗唱しているのか。円周率じゃあるまいし、相当な難事だろう。  今更ながら身内の中に狂気を感じて、僕は便箋の束から手を離してしまった。こっちも呪われそうな気がしたのだ。
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