外道たるもの己が手を汚すべからず

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司令官「魔王様、何故勇者にとどめを刺されなかったのですか?」 魔王『何百年と封印され、たった数年で勇者を殺しては興も冷めよう?』 魔王はニヤニヤと下品な笑みを浮かべる。 司令官「ちっ…。おい誰か居ないか?」 魔王『お主今舌打ちした?』 四天王A「はっ!ここに!」 司令官の態度に怪訝に思いつつも、さらに後ろに現れた四天王に視線を向ける魔王。 司令官「ちょっと始まりの村に行って勇者PTと村人全部殺ってこい」 魔王の言葉を無視すると現れた四天王に命令を下す。 四天王A「我が名誉に掛けて必ずや…」 司令官「一人じゃ無い、全員で行ってこい」 司令官は四天王全員を見下しながら顎をクイっと行ってこいのジェスチャーをした。 四天王「「「「え?」」」」 司令官「え?っじゃねー、4人でちょっぱやに殺ってこいっつってんだ。だいたい四天王A!お前みたいなやつは『む、無念…だが残りの四天王は俺よりも強いぞ』とか言って、返り討ちにあった上に残りの四天王も各個撃破されるパターンだろ」 膝をついて忠誠を誓っている四天王Aの隣にかがみ、司令官は四天王Aの頬に当たるんじゃ無いかと言うくらい顔を近づけてそう言った。 魔王『し、司令官…お主我よりも魔王な事言っておるぞ?』 完全に置いていかれていじけ気味の魔王、心なしか先ほどより小さく見える。 司令官「だいたい魔王様、貴方が先程勇者PTを壊滅させていればこのような事にはならなかったのですよ?」 魔王『いやだってしかし、勇者よわかったんじゃもん。我も楽しみたい!それに勇者が強くなるように魔物配置しとったのに全然弱すぎじゃろ?』 司令官「それはそうでしょう。勇者が強くなる前に魔王城までのルートに道しるべを設置して来ましたから。魔王様が設置された魔物なんて完全スルーで来てますよ彼ら」 おそらくそのルートに設置されてあるであろう『魔王城はこちら』と書かれた道しるべを手に司令官がさらりと言う。 魔王『な!?お主!何を勝手に!魔王は我じゃぞ!?我に相談もなく!それに最近生意気じゃぞ?』 怒りのオーラで周囲の景色歪み、それを見た四天王は膝まづいたままダラダラと冷や汗を流す。 司令官「あ、魔王様そーいう事言うんですか?せっかく魔王様に怪我させないようにって気遣いでやってるのに、そーいう事言っちゃうんですねー」 あーもうヤダヤダーといった感じにわざとらしく肩を竦めて見る。
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