第2章 出会い

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第2章 出会い

「わたし林間田園都市駅の近くのマンションに住んでんねん。そこにはな結婚してるお姉ちゃんも同じマンションの同じ階に住んでてな、姪っ子がめっちゃ可愛いねん」 メニューを頼む前、開口一番彼女は自分の家族構成を語り出した。そして今回の婚活パーティーはお母さんに言われて行った事。行く道中不安になりお姉ちゃんに相談していた事。全て私に出会う前、パズルを一つ一つ繋ぎ合わせるように自分の境遇を丁寧に語った。 「僕のどういう所が良かったん?」 「なんか愛想がなかったところ。どの男の人も優しくて全てが裏あるように思ったんよ。お母さんはそういう男の人やめときって・・・で、林さんだけがなんかめっちゃ冷たかってん」 「多分遅刻して自分の計画通りに行かず頭真っ白になって混乱しててん。相手の事よりも自分の事で精一杯で・・・それで受け答えも適当になってたかも知れへん」 「でもまぁ、こうして話せるのもなんかの縁やね。次回のデートも南海電車一本ですぐに会えるね」 食事を終え、河内長野駅ホームで彼女と別れる時は寂しかった。扉が閉まり、彼女と扉越しに姿が見えなくなるまでお互い手を振り続けた。 電車が遠のき、走行音が小さくなっていく。私は彼女とはもう会えない、連絡が取れないかも知れないとネガテイブに考えてしまったが、空を見上げると見知らぬ星が光っており、それが彼女とまた今度会えるという希望だと分かると心は自然と安心した。
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