第1章 始まり

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第1章 始まり

「どんなに晴天が続いても、心がいつも曇天であれば、あなたの心はいつも曇天だ」 しがない二十八歳の会社員。年齢と彼女いない歴が同じで一度も女性と手を繋いだ事がない。何度か身を絞る思いで食事に行った事はあるが、臆病な性格と相手の視線を気にするが故、恋という踏み込んだ土俵には入れなかった。自分から何か話そうとすると言葉が早口になり、焦って会話が成り立たなくなる。結果好意的な印象は与えられず、次回の航海は成り立たず、いつも帆を畳んでしまうのだった。 そんな皮肉な自分に、苦言の言葉を掲げ人生を歩いてきた。 南海河内長野駅は少し古びた感じがする。駅構内では長らく交換したとはいえない蛍光灯がチカチカしており、蛾が雌を追い求めるように群がっていた。 改札口前シャッターの下りた側には吸いかけのタバコやレシートが落ちており、デパートに通じる歩行路には通勤者を不快にさせるようなゴミ溜まりを見かけたりする事があった。 「誰やねん! 掃除のおばちゃん大変やん!」 と思いつつも、少しおしゃれなチェックの服を纏い、婚活パーティーが開催される市民ホールへと行く何もしない自分と、ゴミを捨てた人間は何も変わらないように感じた。
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