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「おおっ! ビルの屋上だ! いたいた! ターゲット発見!」
「全員強そうでかっちょいーっ! 今日から俺様も組織の一員だーっ!」
「海だ! 船だ! 宝島だ! よーし、海賊王に、オイラはなるっ!」
他の子供同様、なりたい自分になれてはしゃぐ三人組に、担任は困り顔でスタッフに意見した。
「あのぉ、子供に悪影響を与えるので、非現実的なのはちょっと……」
「大丈夫ですよ」
素っ気ない返事に担任は首を傾げる。すると、三人の様子が一変した。
「えっ、け、警察? なんだよ!? 逮捕されちまった!」
「うわあ!? 撃たれた!? ち、血が……うわ~ん!」
「助けて船が沈むーーっ! オイラ泳げないんだーーっ!」
急にあわてふためく三人組を見てポカンとする担任に、相変わらず笑みを浮かべたままスタッフは言った。
「悪いことをすれば最後は悲惨な目に遭うよう作ってありますので」
「な、なるほど。それなら考えを改めてくれるかもしれませんね……」
思わず苦笑いを浮かべる担任。そこへ、
「あのう」
眼鏡をかけた優等生っぽい子が、ゴーグルを外し怖ず怖ずと手を挙げた。
「僕、政治家になったのですが……どうして僕、捕まったのですか?」
〈完〉
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