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 放課後を迎えて昇降口を出た。学校で有名な不良三人組が、ひ弱そうな同級生二人を連れて校舎裏に向かった。そんな光景を尻目に、俺はため息をつきながら帰路についた。 「なにをしているんだ!」  不良たちが校舎裏に消えて数秒後、そんな声が聞こえてきた。おそらくは不良たちの行動を見兼ねた誰かが、クソくだらない正義感で不良たちにアタックしていったんだろう。イジメられっ子を助けてもいいことなんてない。助けた方も助けられた方もだ。  校門を離れたところで、二人組の女子生徒が待っていた。 「ほら、出しなよ」  顔面が真っ黒というわけではないが、ここまで塗るかというほどの厚化粧。髪の毛は頭上でバサバサ揺れている。着崩したワイシャツ、濃い青色の短いスカート。時代遅れのルーズソックス。似たような格好をした二人の女子に、いつものようにカツアゲされた。  財布を取り出し、一万を彼女たちに渡した。 「サンキュー。次は明後日だな、またよろしくー」  なんて言いながら、俺に背を向けて歩いて行ってしまった。その先にあるコンビニに止まっている車に彼氏がいるんだろう。彼女たちが黒塗りのヴェルファイアに乗ってどこかに行くのをよく見かけるからわかることだ。  週に二回、俺は彼女たちにカツアゲされる。火曜日に一万、木曜日に一万。今は高校三年の四月だから、もう二年近くカツアゲされ続けていることになる。最初に金を渡したのは一年生の十月だったか。同じクラスだというのも災いし、きっちり火曜日と木曜日にせびられる。今まで一度も忘れたことがないくらい、アイツらは金がないのかもしれない。 「さて、行くか」  カバンを肩に掛け直し、今日も俺はバイトに向かう。  一年の春から続けているバイトはかなり慣れたものだ。父の知り合いが経営するガソリンスタンドに厄介になっているが、働くというのは嫌いじゃない。自分で自分のことを明るい性格だとは思わないが、なぜか接客業は嫌いじゃない。仮面を付けていいと言われると楽だからかもしれない。
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