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「午後の視聴覚、最悪・・・」
1時間目後の10分休憩、頭が恐怖でガンガンしているあたしに、同級生の
“九鬼琴子(くきことこ)”が話しかけてきた。長身!長髪の
(とっても重要)でスラッと和風美人!最高の、というより…
「ふぅ(あたしの呼び名)も、そう思うよね?ね?」
あたしより背の高い彼女が、両手でこっちの頭をガッチリ抱えて「キスできるんじゃね?」
くらいの至近距離で確認を求めてくる。それを見ていたやーさんが「やっべ、ガチだ!」と吠えるが、九鬼の長足が一閃し、やーさんを吹っ飛ばした。
(吹っ飛ばされても、タダでは転ばないやーさんは「パンツ見えたぁ」と叫んでいたが…)
「も、勿論!ロン持ちだよ!?くーさん!最悪!ダリーよねぇ!ハッハァ!」
「そうだよね!良かったぁ。」
本当にサイコな親友だ。危うく頭を割られる所だった。ことオタク文化に対しては、
おもっくそ“アンチオータ(あたしらの世界に存在する過激的オタク否定者の略称)な彼女は、時折こうなる。何か嫌な思い出があるのかもしれないけど、フォクシー先生とかに対しても敵意むき出しなもんだから相当だ。そう、ここまでくればわかってくれると思うが、
問題なのは、この彼女に例の動画が見られる事なのだ。そっと頭を抱えてみる。触れた髪には先程の九鬼の指跡がハッキリと残っていて、改めて戦慄!
(やばい、確実に死ぬ。てか殺される。)
イベント当日の事を思い出して、改めて後悔!
あの時は当日の雰囲気に飲まれて、つい、撮影カメラに笑顔でピースをしてしまった。
オンエアされた映像を家で観た時は恐怖したが、次の日の九鬼の反応は至って平静。恐らく忌み嫌うジャンルだから視聴を避けたに違いない。そこで安心したのも束の間。まさか授業で流す事になるとは…
断固として動画を見せる訳にはいかない。あたし自身の生存のために!!
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