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昼休みになった。現在、教室の床に正座中ナウのあたしだ(九鬼曰く“お仕置き”との事。食事も彼女の生足に乗せた経由でとらされた。)30分休憩が終われば、午後の授業が始まる…もうすでに、肉体的にだいぶ壊れかけだけど…トドメの時間がやってくる。九鬼は今、
お手洗いに行っている。このわずかな時間に上手い手を…いや、もう正直疲れた。このまま静かに最後を待つのもいいかもしれない。“狂うJAPAN”の現象以降…漫画的要素が
現実化した事を受け、オタク達もだいぶ“オープン”になったと思う。電車や学校内で堂々と萌えアニメについて語り、服装やキャラモノのバッグを持つ彼等、そこに描かれた存在が実際に町中やメディアの中を闊歩している訳だから仕方ないのかもしれないが…自分が
神経過敏なだけだ。この時代において隠れオタ的な者は存在してはいけないのかもしれない…“順応”という2文字の漢字が頭で踊る。ふと何かの声が、あたしの耳元に聞こえてくる。目を上げればクラスメイト達が携帯に映った動画を見ている。自分達が小学生の時に
流行ったダークヒーローモノのアニメだ?確かタイトルは「マッドマン(泥男)」
内容から察するに、最近テレビでやっていた「特選懐かしアニメの名場面集」の一部、
マッドマンのラストシーンだ。体中が泥で出来た彼は最後の敵を倒し、大雨の降る夜を歩いていく。自身の弱点である雨の中をだ。体が溶けて徐々に小さくなっていく彼に、人々が声をかける。
「何故だ!?平和な世界になったって言うのに。何故、死を選ぶ?」
その問いに彼は短く答え、水たまりに沈んでいく。
「私は…嫌だ…」
マッドマンは知っていた。自分達のような異能者を全て倒した後の世界を…
それらを全て倒し、自分だけが異能な世界…そんな世界では生きる事ができない事を。
一番よく知っていたのに、結末がわかっていたのに…順応を選ばず自分の生・き・方を貫き
世界を守ったのだ。あたしの心は熱いモノでいっぱいになる。
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