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「やっぱりアニメ最高!…」
立ち上がる。自分が隠れオタで、親友がオタク嫌いだっていいじゃないか!それはあたし
自身が選んだ、確立した生き方なのだ!!人に隠れてとか!人の目を気にする、
そんなライフでいいじゃないか?自分が選んだ道だ!!後悔もクソもない。親友の九鬼もみぬきも好きだ!でもアニメも大好きだ!!この、あたしの人生において、最も重要な
“要素”を漏らす事なく生きるために何でもやってやる!そう決めた。こちらをアホ面で
眺めていたやーさんの前に立つ。ニヤニヤ笑いの奴さんの顔面を張り(先程と同じくらいの
盛大な血が飛び散った)倒れ込む彼のズボンからライターを拝借する。やーさんが
粋がってタバコを持っていると言ったのは嘘ではなかったようだ。教室を飛び出し、人気のない屋上前の廊下に辿りつく。階段踊り場に置かれたいる予備の椅子を引っ張り出し、その上に立ったあたしは、天井にライターを翳す。
「マッドマン…参考になったよ。」
着火したライターと火災報知器の音、そして、彼にトドメを刺した水が勢いよく学校全体に降り注いだ…
「午後の授業中止だって。」
あたしの頭を丹念にタオルで拭き取る九鬼が耳元で囁きかける。学校全体が水浸し…
当然の結果だ。流石の彼女も、自分がここまでしたとは思ってないらしい…良かった。
「帰りにゲーセン行こっか?くーさん。」
「うん。」
嬉しそうに頷き、カバンを取りにいく彼女を目で追う。良かった。結果はヒドイが。
万事何とかなった。やーさんは殴られすぎて、よく覚えてない様子だ。あたしが疑われる事はない。良い気持ちで鼻歌を歌うあたしの鼻先に携帯の画面が突き付けられる。そこには
コミスパ会場で嬉しそうにピースサインの自分が…!?
「いやぁ~ざんねん、今日の授業はふぅの見せ場だったのにねぇ~?」
すっごく妖艶な笑顔のみぬきが自分の前に立っていた。あたしの闘いはどうやら、まだまだこれからのようだ。苦笑半分(震えを悟られないように)恐る恐るで聞いてみる。
「あの、何をしたらいい?」
「とりあえず~“ワン”って言いなよ。ふぅ~♪?」
(終)
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