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二度目の異世界召喚でも勇者でした
プロローグ
俺の目の前にはこの世のものとは思えないような異形が佇んでいた。
「クソッ……! いくら魔法を使っても歯が立たねぇ……!」
そいつはいわゆる魔王、というやつで、異世界に来てから幾度となく戦ってきた魔物より一回りも二回りも威厳があり、畏怖と恐怖で力を抜けば今にも竦んでしまいそうだった。
「[焔焼;Nuclearexplosioner]ッ!」
パーティで魔法攻撃担当のサクが、高火力の炎魔法をその黒い巨体にぶつける。
半径が三メートルほどの炎の球は猛スピードで魔王へと飛翔し、その衝撃にさすがの魔王も怯んだ。
「今だ! シュヴィ、デコルノは左から、シエラは俺と右から接近して叩け!」
「「「了解!」」」
「まだまだ![弱化;Allstats]!」
俺たちが攻撃に移る直前にサクがデバフ魔法をかけ、魔王の動きが鈍くなる。
その隙を突き、俺たちはこの三年間で培った美しいほどの連係プレーで魔王へこれでもかと攻撃の痕をつける。
それが功を奏したのか、ついに魔王がズシン、と大きな音を立てて膝をついた。
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