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……と、物思いにふけっているうちに自分の部屋の前にたどり着いた私はそっと扉を開け、ベッドに横になった。すぐに睡魔は襲ってきて、目をつぶっただけで私は深い眠りについてしまった。
◇◆◇
「ロマーネ、起きなさい」
優しく肩をゆすられて、寝惚け眼をこすりつつ目を覚ます。
「んん……。ん? お父様!?」
お父様が直々に私を起こしに来ることは今までほとんどなかったので、私は驚きで眠気がさっぱり覚めてしまった。
「朝早くに済まない。大事な話だから落ち着いて聞くんだ」
お父様の顔はかなり怪訝な顔つきをしている。
「どうしたんですか?」
私は恐る恐る尋ねる。
「実は昨夜、お前の身柄を渡せと元老院から言われてな。どうにかそうならないように手は打とうとしたんだが時間が足りなかった。私がお前にできるのは地下室の鎧を渡して逃げさせることくらいしかできない。一刻も早く逃げるんだ、いいね」
早口でまくしたてられた私は話を理解するのに時間がかかったが、やがて事実を理解した私は青ざめながらも「……わかりました」、と返事をして急いで地下室に向かった。
普段はカギがかかっている地下室もその時だけはカギが開いていて、私が物心ついた時にはすでに私のそばにいた執事が扉の前で腰を折る。
「話はご主人様からうかがっております。鎧は磨いておきましたよ」
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