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「それで? それとこれとは関係ないような気がするが?」
俺がさらに詰問するような視線を向けると、一瞬たじろいでから再び言葉を紡ぐ。
「そのあと、メンバーの中でこの家を守る役割を決めたほうがいいってなって、その……いつも一緒にいた私に、白羽の矢が、立ったのです……」
話していくうちに徐々に声が小さくなっていったのは後ろめたさからか、羞恥心からか。どちらから来るものか俺には想像出なかったが、それでも彼女がここで暮らしていたことについては理解できた。
「あの……、口をはさむ様で申し訳ないんですが、何をおっしゃっているのか私にはさっぱり……」
しかし、俺とシエラのこれまでの経緯を知らないロマーネはそうもいかず、疑問符をいくつも頭の上に浮かべていた。
「そういえばお前は知らなかったな。俺とこのシエラってのはもともと一緒に旅をしていた仲なんだ」
俺がシエラを紹介するとどうも、と一声かけてちょいっと会釈する。
「それだけの仲じゃないはずだけど?」
しかし会釈だけでは満足いかなかったようで、微笑みながら付け足す。
「だから、その件はなしになったはずだろ……」
何度もこの説明を繰り返しているせいですでにあきらめかけているが、一応肯定するわけにはいかない。
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