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「えっと、このシエラって子は王族なんだけど、無理やり許嫁にされた」
しぶしぶといった体で説明するが、一応俺にだって思い人はいるのだ。シエラは美しいが、簡単にサーシャをあきらめることはできない。
「無理やりってことは本意じゃなかったんですか?」
ロマーネが疑問を投げかけてくる。それもそうだろう。先にも言った通り、シエラの美貌には目を見張るものがある。
肌は磁器のように美しく、瞳はくりくりとしていて愛らしい。醸し出す雰囲気とあいまってその姿は小動物そのものだ。しかし、身長は剣術を身に着けるのに不自由はない高さ。女性としては高身長といえるだろう。そのギャップも相まってますます美しく見える。おまけに声は凛として透き通るようである。
これで魅了されないほうがおかしい。
事実、俺は最初も魅了された。がしかし、この少女、性格に難点がある。
俺はその性格を見たからサーシャに戻ることができた。
「もったいないですねぇ……」
ロマーネはしげしげとシエラを見つめながら話す。
「こいつは見た目だけだ」
一応俺はロマーネに忠告しておく。しかしその忠告は悲しくもロマーネの耳には届かなかったようで、シエラを観察し続けている。
もうだめだと悟った俺は、再び腰を深くソファーに沈めた。
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