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現に話を聞いていたシエラが美化されすぎた俺たちの物語を聞き、爆笑している。
しかし、ロマーネは顔をしかめ、何がおかしいのかという表情をしている。
「いいか、ロマーネ。落ち着いて聞いてくれ」
その不信感をぬぐい去るため、俺は説得を試みる。
「……はい」
ロマーネはシエラのことは置いといて、不承不承という体で返事をする。
「お前がどれだけそのモルゾードの英雄を尊敬しているのかはよく分かった。だけど俺はそれをいい判断だとは思えないな」
しかし、これは火に油を注いでしまった。
「……なぜあなたがそんなことを言えるんですか?」
少し間を置いた返答。しかし、この言葉の中に先ほどまでの穏やかさは残っておらず、殺気だけを漂わせている。
「あまり言いたくはないんだが……、その、俺とそいつは昔知り合いだったんだ。」
彼女が崇拝しているその英雄がこんな駄目男であるとは言う気にもなれなかったので、要所要所はぼかして遠回しに俺のことを崇拝するのはやめたほうがいいと伝える。
「そんなのありえません! だってその勇者様は百年も前の人物なんですよ!? あなたが百歳であるとは到底思えません!」
しかし、百年と言う単語を聞き、俺は驚いた。
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