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『なるほど。そこの勇者よ、腰が抜けて動けないようだな。貴様が動けなかったことで見方が死んでいく様をその目に焼き付け、そしてあの世で後悔するがいい』
その手を一振りすれば、再び鎖鎌は元の持ち主に戻っていく。
光を浴びてぬらりと赤く光る光景が妙に非現実感を覚えさせた。
『次はそこの少年、名はデコルノといったか。貴様の番だ』
その鎌を構え、放つ。
その動作だけで死を予感させるほどその鎌には強さがこもっていた。
鎌がデコルトに向かって飛ぶ。
デコルトはその鎌を無様な姿は晒すまいとにらみつけていた。
そしてその鎌がわき腹を薙ぐ。
……寸前で鎖鎌は意識を失ったかのようにジャラ、と地面に落ちた。
魔王も俺たちもその光景が理解できず、一瞬呆けていたが、すぐさま事情に気付き俺は壁側を向く。
「はぁ、はぁ。その鎌の所有権は……、もう、私のものよ」
満身創痍の体でにやりと笑うシュヴィは、こう続けた。
「魔力をまとう魔具は、より力の強いものに主を定める。魔王様よぉ、そんな初歩的な事、忘れてたわけじゃ、ねぇよな?」
『馬鹿な…! それほどの傷を負ってまだ契約を破棄させるだけの力を持っているなどと……!』
「おい、今の内だぜ、ソウタさんよぉ……!あの鎖鎌が無けりゃ、あんたたちでも倒せるはずだ……!」
そうだ。
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