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せっかく死ぬ気で隙を作ってくれたんだ、感傷なんかは後に取っておいて、今は目の前の敵を殲滅しないと!
「行くぞ。ラストバトルだ!」
全員で最後の力を振り絞り、魔王に渾身の一撃を叩きこみ続ける。
『馬鹿な、我がここで敗れるなど……!』
もっと、もっと多く攻撃を叩き込め。
『くッ、この程度……ッ!』
もっと早く、もっと強く、もっと多く。
腕がこれ以上のスピードは出ないと悲鳴を上げ、指先は衝撃で痺れ感覚がなくなり、視界は返り血と自身の鼓動で真っ赤に染まっている。
まだ足りない、まだ足りない。
俺のすべてを捨ててでも、俺は……。
「サーシャのためにお前を倒すッッッ!!」
この世界に来た時から世話になってばかりのサーシャを見捨てるわけにはいかないッ!
『ぐッ、馬、鹿……な!』
何度も何度も攻撃を加え、何度攻撃を加えたかわからなくなった頃、ついにその時は訪れた。
その巨体がまるで糸の切れた人形のように傾き始め、地面に沈みこませるようにその身を倒した。
暫くしてもその巨体が起き上がる気配はない。
「勝った、のか?」
巨体は動かない。
俺はそれを確認して、傷を負ったシュヴィのもとへ向かう。
「シュヴィ!」
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