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私は今、今朝起こってしまった出来事を理解できずにいた。お父様が言った『国民にハーピィの妻がいると知れ渡ってしまった』、という話。今まで通りなら知られるはずがなかった事実がなぜ知られてしまったのか、お父様も混乱しているようだった。
「そんな……。それじゃあお母様は……?」
「国家権力の剥奪、ということになるだろうな。私も本当はこんな結果は望んでいなかったのだが……。すまない」
「違う、お父様は悪くないの! 全ては……全てはハーピィ族に対する差別を作った何代も前の国王がいけないの!」
「しかし、私も責任を感じずにはいられない……。とにかく今は部屋に戻って休みなさい、ロマーネ」
「……はい、お父様。おやすみなさい」
「お休み、ロマーネ」
私は静かにお父様の部屋を後にして、自分の部屋に向かう。気づけば時計はすでに十二時を回っていて、かなり長い時間話し込んでいたとわかる。
かなり前の話。この国の国王はハーピィに対して虐待をしていたらしい。なぜそんなことをしたのかという動機や目的は私には未だわからないままだが、その事実に激昂したハーピィは人類に対して大量虐殺を行った。
その時代から人間のハーピィに対する差別意識が急激に高まり、人とハーピィはかかわってはならない、なんてことも言われた。そんな中でのお父様とお母さまの結婚。お父様は人間でお母様はハーピィ。
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