ルーティンワーク

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 ***  ごめんね、先生。  先生をずっと欺いていたのは私の方。  私は暗示になんて掛かっていなかった。  騙された振りをして、先生を見張る事。  それが私のルーティンワーク。  でも私、先生の(もと)でたくさん勉強したわ。  人に暗示を掛ける方法。  合田へのキーワードは『赤い海』。  私に気のある合田を(そそのか)して、強盗に見せかけ両親を襲わせたのは私。  だってあいつらは、ずっと私に酷い虐待を与えて来ていたのだもの。  あの日。  あいつらが赤い海に沈み行く様を、私はこっそりと携帯に録画していた。  これは、先生を守る為の証拠にもなる動画。  先生にとっての赤はトラウマの色かも知れないけれど、私にとっての赤は恍惚の色。  何度も何度も動画を見返す度に、私を守ろうとしてくれている先生を好きになっていったの。  大好きよ先生。  だからお願い。  早く私の所へ帰ってきてね――  ~終~
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