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「じゃあ、いつも通りに自己紹介から。僕は日下京介。君の主治医で、このクリニックの院長だよ」
「あ、はい。日下……先生」
「そして君は、僕の患者さんであると同時に、このクリニックの医療事務も任せられている」
「そ、そうなんですか?」
不安気な私を見て、先生はにっこりと微笑んだ。
「大丈夫、君は毎回そんな顔をするけれど、いつもそつなく仕事をこなしてくれているよ」
そして、必要事項の記されたマニュアルを渡された。
私はそれを受け取ると、自分でも驚く程自然に速読で目を通す。
「はい……全部頭に入れました」
「オーケー。じゃあ今日もよろしく頼むね」
ポンと私の頭に、その大きくて温かい手が乗った。
至極自然な動作。
これも、先生と私の日常なのだ。
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