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日下先生は心療内科医。
患者のカウンセリングを主とする。
完全予約制であるにも関わらず、患者は時間を忘れて話に没頭するので、時間はどんどんとオーバーする。
午前最後の患者さんを診療し終わった頃、時計は午後2時をとうに過ぎていた。
「先生、お疲れ様です」
「木南さんもお疲れ様。今日も仕事は完璧だったよ、ありがとう」
「そ、そうですか? ありがとうございます」
嬉しい。
先生からの優しい笑顔とねぎらいの言葉が、心にじんわりと染み渡る。
「今日は午後診が無いから、お昼を食べた後に、ちょっとドライブにでも出掛けてみようか」
「え? あ、はい……!」
これってデートなの?
今日は特別?
何だか昨日の私に、申し訳ない気がする。
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