ルーティンワーク

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「せ、先生、大丈夫ですか?」 「大丈夫……大丈夫だから」  その姿は、見えない何かに怯えていた。  けれども、その何かと必死に戦っている。  先生はゆっくりと、浅く息を吸い長く息を吐くと言う動作を何度が繰り返した。  それは、パニック状態を抑え込む為の呼吸法。  徐々に落ち着いて来ると、先生は(おもむろ)にその重い口を開いた。 「僕は今日……告白をする為に、君をここへ連れ出した」 「告白?」  その様子から、それが愛の告白などでは無い事は、百も承知だった。 「赤は僕のトラウマだ……君のご両親の最期を彷彿とさせる。あの時の仲間……合田(ごうだ)から、警察にマークされているって連絡が入った。捕まるのも時間の問題だ」  両親の最期……  仲間が捕まる……  それらの言葉に、私は思わず呆然とした。
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