17.朝から溺愛はほどほどに願います

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 ぼんっ! と一気に体温が上昇した。 「……赤いけど、もしかして熱が出たかな?」  コツン、と額を合わせられた。違う! 熱があるとしたら今目の前にいる殿下のせいだ!  はくはくと口を開閉し、「……ないと思います」と掠れた声で告げた。 「……おはようございます」  我ながらひどい声だった。これでは百年の恋も一気に冷めそうだ。だけど。 「声、掠れてしまったね。後でハチミツを持ってこさせよう」  嬉しそうに言いながら身体を起こし、ベッドサイドに置かれた水差しからコップに水を注ぎ、私のくにゃくにゃになった身体を起こしてコップを渡してくれた。大人向け恋愛小説の展開ならここは水を口に含んで口づけとかやらかしてくれるのだが、してくれなくてよかったと思う。朝はできればお互い口を漱いでからにしてほしい、と自分で思ったところで私は首を傾げた。すでにコップは殿下に返却済である。 「ユーリエ、どうかしたのか?」 「いえ……その、夢の中に”運命の女神”とやらが出てきまして」 「……なんだって?」  そう言った途端ぶわっと空気が変わったような気がした。しかも殿下の声がいつになく低い。私は冷汗をかいた。 「ユーリエ、女神は貴女に何か話した……?」     
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