1.王弟殿下に求婚されました

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『運命の人』というのは、ガイーナ王国の王族にのみ存在する「終生の伴侶」のことである。  ただ全ての王族に存在するわけではなく、ごくまれに伴侶が決まった子どもが産まれる、という程度ではある。しかし『運命の人』以外とは子が産まれないとか、二人を無理矢理引き離したりすると天変地異が起きるなど嘘かと思うような事実があり、もし『運命の人』がいると言い出す王族が産まれた時はその者の好きにさせるという不文律ができあがった。ちなみに『運命の人』を無事得た場合、国中の気候が安定し災害が起こりにくくなるという利点があると言われている。これらの記録は代々王家に引き継がれ、国の重鎮たちも自分たちの代に『運命の人』を持つ王族がいることを望んできた。  そして、実に八十年ぶりに『運命の人』を持つ王族が産まれた。  それがくだんのコンセイト王弟殿下である。  産まれながらにして伴侶を持つ王族は特に大事にされる。教育は丁寧に施され、小さい頃から国内のあちこちへ連れて行かれる。そうやって早いうちに伴侶を探すのだが、彼の場合何故かなかなか見つからなかった。     
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