18.逃げられなくなっちゃいました(完)

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 おそるおそる聞くと、みな目を丸くした。そして一様にため息をついた。 「ユーリエは初心ねぇ……」 「私にもこんな初々しい時期がございましたわ……」 「ライトに聞かせてあげたい科白ね……」 「ファーイーストさまも聞いてほしいですわ……」  ちなみに上から王太后さま、王妃、母、義姉の順である。一部なんだか黄昏ているような気がする。母が私に向き直った。 「あのね、ユーリエ。婚約というのは結婚の約束、ということは知っているわよね」  頷く。 「だけど、家の都合などで婚約が解消されたりすることも知っているわね」  深く頷く。 「でも、婚約中に既成事実があればよほどのことがない限り結婚するの。貴族間の婚約が形骸化している今、婚約破棄されない為には身体の関係を持ってしまうのが一番確実なのよ」  それはさすがに知らなかった。婚約したら結婚するものだと漠然と考えていた昔の自分があほすぎる。 「ええと、お母さま。その、よほどのことって……」 「どちらかの死亡、もしくは人殺しや国家反逆罪などどちらかが重大な犯罪をおかした場合のみ婚約はなかったことになるわ」  つまり、婚約というより既成事実を持つことが重要なのだろうか。そう問えば、     
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