18.逃げられなくなっちゃいました(完)

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 当然のことながら殿下が卒業した後私が学園に残るというのは難色を示された。妥協案として結婚したらこの王族専用の寮に引っ越してくることを条件に認めてもらえることになった。  そして肝心の、夜の生活のことだが……。  せっかく学園に入ったのだからしっかりと勉強したいので、頻度は週一に限定してもらった。それについては殿下が目に見えてがっかりしたが、 「その……どうせ私が卒業後は殿下と一緒に暮らすんですから……」  という呟きにしぶしぶ同意してもらった。こうなってくると長期休暇や卒業後がとても怖い。  けれど私は引くわけにはいかなかった。  今の私には誇れるものが何もない。このまま殿下にただ愛されるだけでいては、そのうち飽きられてしまうのではないかという危機感を覚えたのだった。せめて学園で知識をつけ、なにかしらできることを増やしたいというのが本音である。 「……私、ちゃんと殿下のこと、好きですから……」  頬を真っ赤にしながらそう消え入りそうな声で告げたらいきなり抱き上げられベッドへ直行された。 「殿下! 殿下! 明日も授業がありますからぁっ!!」 「……ユーリエと出逢えたから学園に入ってよかったとは思うけど、今はしばらく休校にしたくてたまらないよ……」  王族だからって職権乱用はおやめください。  最後までされなかっただけで、その手前までは延々されてしまった。     
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