18.逃げられなくなっちゃいました(完)

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 日常が戻ってきた。  キハイヤ・レンスロール公爵令嬢は週に2,3回お菓子を作ってきては私たちに振る舞ってくれている。  相変わらずおいしくてほっぺたが落ちそうだ。  そういえば二番目の兄にシュークリームを買ってもらう約束をしたのにまだもらっていないことを愚痴ったら、次の時に公爵令嬢がシュークリームを作ってきてくれた。  キハイヤさま、一生ついていきます!  あ、もちろん兄からも徴収はする予定です。  王の甥であるガウェイン・ケール侯爵令息は私の侍女のイーアを口説いているようだが、 「せ、せせせめてお嬢さまの結婚式が終るまではああああああ!!」  と逃げられているらしい。しかし毎回イーアの顔がトマトのように真っ赤になっているのでやっぱり結婚した方がいいと思う。  きっとガウェインならいろいろうまくやるだろう。  さて、友人のエルシス・ワカアラ伯爵令嬢はというと、マウテア・マーグレイブ侯爵令息にこれでもかとがんがん押して、夏休みには婚約を取り付けられることになったと喜んでいた。 「……やっぱり婚約したら既成事実よね」  と不穏なことを言っていたが聞かなかったことにした。  期末考査ではほんの少しだけ順位が上がった。それもこれもみんなの助けがあったからである。  まもなく夏休み。休みといっても私に本当の意味での休みはないと思われる。今年はとにかく忙しい。  だけど、私を見つけてくれた王弟殿下のことを私も好きになってしまったから、お互いの為にいろいろがんばろうと思う。  結婚後もずっと殿下には、蕩けるような笑顔を向けてほしい。  夏空にもくもくと浮かんでいる入道雲を見ながら、私は心からそう願った。 HAPPY END! 「王弟殿下が運命の人でしたが、全力で逃げたいと思います」2017.11.30. 約十万一千字にて。
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