1.王弟殿下に求婚されました

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 翌朝学生寮の前は騒然としていた。  寮の朝食に間に合う時間ぎりぎりまで寝ていた私は全くそのことに気付かないまま急いで支度をして朝食を食べ、さぁ学校へ行こうと寮を出ようとしたところ、出入り口付近でまごまごしてしまった。 「え? なんで? もうすぐ授業じゃないの?」  腹立たしいことだが私はそんなに背が高くないので、寮の出入り口を塞いでいる生徒たちの後ろからでは何が起きているのかさっぱりわからない。 「すいません、通してくださーい……」  上からは絶対無理なので、とりあえず声をかけつつぐいぐい押して人波からようやく出たと思ったら、 「おはよう、ラインデッカー嬢。心の準備はできましたか?」  何故か爽やかな笑顔の王弟殿下に遭遇した。  (……心の準備?)  と首を傾げ少し考えてはみたが、なんだかいい香りがしてきてただでさえ働かない頭ではとても答えに辿りつけない。仕方がないので「できておりません! 失礼します!」と言い置いてダッシュで教室へ向かった。  わけのわからない王弟殿下よりもまずは授業である。     
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