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ケイティは唇を尖らせながら、ぽつりぽつりと話始めた。ノアはケイティに向かって微笑むと、木の枝を持った彼の手を握り、ローブの下の翡翠に当てて答えた。
「あなたの呪いが解けるまで、決して私はあなたの元を離れません。それが、今の私に出来ることだと信じているからです。この翡翠に誓います。だから安心して下さい。これからは、どこか出掛ける時は、メモを残してから、用事をしに出掛けますね」
ノアが新たな提案をすると、ケイティはようやく頷いた。ノアの手を優しく解き、両腕を広げる。
「仲直りのハグをしよう」
「喧嘩をしたつもりはないのですが……」
「いいから。俺の気が済んだハグだ」
ここで拒んだら、せっかく作った料理も冷めていくばかりなので、ノアは仕方なく、ケイティの言う通りに、彼の腕に収まった。ケイティはギュッとノアを抱きしめると、首元に顔を埋めた。ノアは両手をどうしたらいいか悩んでいたが、彼の尻尾を撫でることにした。相変わらず、滑らかで上品な毛質だった。心地よい手触りに夢中になり、気を抜いていたノアの首元を、ケイティは強く吸った。
「何をするのですか?」
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