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第壱部 色好み花心《はなごころ》の真《まこと》
……880年夏……
ついに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを
<古今和歌集 在原業平>
(※口語訳※人は誰しもがいつかは逝く道だとは知ってはいたが、まさかそれが
こんなに急な事とは夢にも思わなかった)
〈返歌〉
天雲の 行く道の果て ありがたし 後世はまほなり いかでか悔ゆる
<神薙舞由良>
(※口語訳※ あなたの行く道の先は、滅多にない程素晴らしいのです。来世は完全に
整っていますよ。順風満帆です。どうして後悔する事などありましょうか? いいえ、
後悔する事などないのです)
{(説明)行くと逝く、道と未知と航路、真秀と真帆をかけている。道(未知)
の果てと後世が縁語。天雲は行くの枕詞}
※尚、この物語は民俗学の見地より諸説取り入れて
おります。
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