5人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
『Story』
幸せな物語は夢だった
そんなものが本当にあるわけなかったんだ
永いこと夢をみていた
本気で信じていた
2人ならできる、と信じていた
夜の静けさは反対に私の心を惑わした
ざわざわと蠢く私の中の情が
好きだ、と 嫌いだ、を繰り返す
灯りを見るたびに思い出していた
君が笑うと温かくなれるということを
私たちだけの物語だと思っていた
だからきっと懸命に紡いでいたし
1人の夜も灯りを眺めていた
結末はどんな風にでもできるのだと
君の言葉に間違いはない、と思っていた
きらきらと流れるものが
全然輝いているように見えなくなった
心奪われた冷たい雫は
ありふれた塵の1つになった
君はきっともう覚えていない
全てを信じ切って
幸福になれると思っていた頃
物語は永遠だと
言葉を操るのが楽しかった頃
幸せな物語は静かに燃えていく
最初のコメントを投稿しよう!