甘辛な時間

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 宗次郎が変わった理由がなんだろうと知りたくとも、 誰もが口にしないければ仕方ない。 「今日のお弁当は、 何が入ってるんだ?」 「宗次郎くんが好きかは分からないけど、 唐揚げと肉じゃが、 卵焼き。 他にもあるよ」 「結構沢山作ったのか?」 「……うん」 「折角なら、 キッチンスタジオでも借りれば良かったな」 「い、 いいよっ! そんな所っ!」  凜乃は思わず宗次郎を見て頬を赤らめた。  すると宗次郎が優しく微笑んでいる。  その笑みにどこか懐かしい感じがして、 凜乃はまた胸を鳴らしてしまう。 「美味しいと良いな。 お弁当」 「……っ! 敏子さんにご指導頂いてますっ」 「まあ、 俺は何もいえないが」  くくっと笑う宗次郎はどこか楽しそうだ。  なぜだろうと、 首を傾げると宗次郎は恥ずかしそうにぼそりと呟いた。
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