甘辛な時間

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「ひととおりの事は出来るが、 俺には料理の才能が皆目ない、 らしい」 「えっ? だって、 剣道もピアノも出来るのにっ?」 「それは関係ないだろう? が、 とりあえず、 何かやったらそれなりの結果にはなるのだが、 料理だけは下手なんだ」 「どうして気が付いたの? 家政婦さんのお手伝いで?」  凜乃が興味深々で身を乗り出してたずねると、 宗次郎は一瞬眉間に皺を寄せるも、 窓の外を見てしまう。 「敏子さんの手伝いをさせてもらったことがあるんだ」 「えっ? 敏子さんの?」 (息子みたいって言っていたから、 かな)  とはいえ、 安易に手伝いなどさせるかと凜乃はどこか府にに落ちない。
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