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小腹が空いたなら、
宗次郎なら適当に何か買いに誰かを走らせるくらいは可能だ。
「とにかく。
やったことがない。
だから下手なんだ」
「そっか。
そうだよね」
「凜乃が苦労して作ったなら、
どんなものでも嬉しい」
(え……え?)
もう一度聞きたいと凜乃が目を瞬かせると、
宗次郎はふいっと顔を逸らしてしまった。
訊き間違いではないと思うが、
ぼそりと言われたせいかもう一度確認したくて仕方ない。
でも、
宗次郎はまた窓の外を向いている。
「そろそろ着きますよ」
「ああ。
ありがとう。
一旦帰っていいぞ。
時間もかかるだろうから」
「かしこまりました」
(時間が、
かかる?)
お弁当を食べて終わりかと思っていただけに、
それ以外に何も考えていなかった。
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