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プロローグ
僕と彼は、共に浴衣姿で、あぜ道を歩いていた。 時は夕暮れ。風は既に秋の中に生きていた。 鈴を転がすような鳴き声は夏の虫のものか、秋の虫のものか。 田舎で過ごす最後の夏休みの日は、いつも境界の中にあるような気がする。 境界。普段は身を隠している諸々のものが吐息を奏でる処。 澄んだ鐘の音の波が、肌に染み渡っていく。 ああ、あれは、僕の心の音だ。
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