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時間の流れは巨大な砂時計でも見つめているようだった。あと1時間を切っているのに、まるで時間がすすまないのだ。4足ロボットが6体、兵士が3人の小隊が逆島少佐が精密な狙撃を展開するススキの斜面に向かっていく。
「兄さん、逃げろ」
タツオは叫んだが、兄は動かなかった。もう重い狙撃銃をもって駆ける体力が残っていないのかもしれない。犬型ロボットは無視して、人間の兵士を狙い撃つ。ひとりが倒れたが、そこからロボットも兵士も全速力で突撃を開始した。兄の潜むあたりに数百発の銃弾が降り注ぐ。
兄の死亡フラッグが戦闘ディスプレイに立ったが、聞こえたのはかすかなうめき声だけだった。クニが叫んだ。
「タツオ、もうおれとへろへろのジャクヤだけだ。どうする、降伏でもするか」
テルが叫び返した。
「ふざけんな。誰のために死んだと思ってんだよ。最後まで戦え」
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