依頼人は女子高生

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「だからさぁ。何で撮っちゃったわけ?」 肩を竦めている少女に僕は言った。今にも泣き出しそうだ。一回り小さく見える。 「元カレのこと、信用しちゃって……」 「別れたらどうなる分からないってことくらい想像しようよ。しかもオラオラ系なんでしょ」 少女が小さく頷く。 「で、今のところ載せるぞって脅されてるだけね? まだばらまかれてないんだよね?」 また頷く。 「じゃ十万。どうにか用意したよね? 即金だよ」 これ、と差し出された封筒の中身を確認する。何でも屋に分割払いはない。 さて。直接話をつけに行ってもいい。今なら止められる。 でも僕は違う。少女に送り付けられたという小さなチップを指先に摘まんで眺める。 内容はさっき確認した。素人AVみたいなものだ。 匂いを嗅ぐ。イメージを次第に強くする。これの本体がどこかにあるはずだ。 イメージング方式、誤り訂正ビット、ファイル整合性、そういうものを乗り越えて「何か変なモノ」が僕に降りて来る。同時に降りて来る圧倒的な恐怖。 この力がどこから来ているのかは分からない。僕は呪われているのかも知れない。 僕は電気を消して眠ることが出来ない。見えるからだ。この世のものとは思えないものが見えるからだ。見慣れることはない。常に恐怖と戦っている。 だが、出来ることでメシを食う以外にどうやって生きる? 指先が熱くなる。 「これでどうかな。スマホで見てみて」 「はい……」 凄まじい悲鳴を無視して、まぁ成功したのかなと窓の外を見る。 彼の家の引き出しの中。オリジナルはPCの中のファイルとビデオの二つ。 何枚も複製は作っていない。 五分で書き換えた。 「終わったよ」 見た奴が呪われようが何だろうが僕の知った事じゃない。 ポルノは呪いのビデオ画像に変わった。 今日は早く仕事を終えて、頭の中の気持ち悪いものを酒で消すことに決めていた。
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