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ルシファーside off
ずぁ…
闇が一瞬ルシファーを包むと、次の瞬間にはルシファーではなくケインがいた。
もちろん、ルシファーと同様のマントを羽織った状態で。
ケイン、アライン、ナーガの3人も宋史によって命令を受けていた。
闇の力により、勇者の周りの人間を情けをかけることなく殺すと言う命を。
そうして、初めに出てきたケインは、適当に残りの15人の中から2人選び、未だ騒然としている空気の中で名使いの女と衛兵1人に悪夢を見せた。
それもただの悪夢ではない。
勇者が殺した貴族の男の痛みやルシファーが殺した女達の痛みを想像として2人に染み込ませ、発狂するギリギリ手前で止めさせたのだ。
「…っ…ひっ…」
「ぁ…ぁあ…!?」
茫然自失と2人は膝から崩れ落ち、虚空を見つめて泡を吹く。
「お、おい!どうした!?」
周りにいた人々が慌てるが、勇者はそちらには目が行かず、ずっと己の剣を見ていた。
そして、騒ぎに目が行かないのは勇者だけではなく、勇者が人間を殺す所を見てしまった数人もそうだだった。
姫「ゆ、…勇者…さま…?」
勇「っ…!!」
力なく呼んだ姫の声に反射的に反応し、身体を震わせた勇者だったが、誰もそれ以上かける言葉が出てこなかった。
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