第5話ー直接対決

35/58
前へ
/207ページ
次へ
ルシファーside off ずぁ… 闇が一瞬ルシファーを包むと、次の瞬間にはルシファーではなくケインがいた。 もちろん、ルシファーと同様のマントを羽織った状態で。 ケイン、アライン、ナーガの3人も宋史によって命令を受けていた。 闇の力により、勇者の周りの人間を情けをかけることなく殺すと言う命を。 そうして、初めに出てきたケインは、適当に残りの15人の中から2人選び、未だ騒然としている空気の中で名使いの女と衛兵1人に悪夢を見せた。 それもただの悪夢ではない。 勇者が殺した貴族の男の痛みやルシファーが殺した女達の痛みを想像として2人に染み込ませ、発狂するギリギリ手前で止めさせたのだ。 「…っ…ひっ…」 「ぁ…ぁあ…!?」 茫然自失と2人は膝から崩れ落ち、虚空を見つめて泡を吹く。 「お、おい!どうした!?」 周りにいた人々が慌てるが、勇者はそちらには目が行かず、ずっと己の剣を見ていた。 そして、騒ぎに目が行かないのは勇者だけではなく、勇者が人間を殺す所を見てしまった数人もそうだだった。 姫「ゆ、…勇者…さま…?」 勇「っ…!!」 力なく呼んだ姫の声に反射的に反応し、身体を震わせた勇者だったが、誰もそれ以上かける言葉が出てこなかった。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

294人が本棚に入れています
本棚に追加