294人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ぁ…ぁあ…っ…た、すけ…」
「ひぃ、っ…ぃ…ぃやあ…!」
何かを怯えるように、ケインの術によって崩れ落ちていた2人は、何かを求めてさ迷い始め手を伸ばす。
そしてそれをちょうど見ていて、2人の近くに居た衛兵2人がほぼ同時に手を貸そうとした瞬間に、錯乱状態の2人は衛兵たちに勢い良く噛み付いた。
「ぐ、がぁあ!?」
「ぎぃっ、あぁ!?」
二人とも首筋を人間とは思えない力で噛みちぎられ、出血多量で程なく絶命した。
そして、噛みちぎった当の本人達は顔を血塗れにした後に意識を取り戻すと、今度は本当に発狂した。
そしてそれを見届けてからケインはアラインへとバトンタッチしたのだった。
ずぁ…
ケインの身体が闇に包まれると、程なくしてアラインが今度は姿を表した。
もちろん、マントによってアラインの姿は誰にも見えはしなかった。
しかし、もしアラインが見えていたとしたら、彼らは一瞬にして彼女の美貌によって虜になり、石となり、朽ちて居ただろう。
その力すらを抑止していたのだ、このマントは。
アラインは両手を広げて自身の使い魔である小さな透明な蛇を11匹出して、勇者以外の全員の身体の中に潜ませる。
最初のコメントを投稿しよう!