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それにより、アラインのマインドコントロールと合わさって、その他の生き残りの人間達は勇者の事を敵と見なすようになっていき、無意識に衛兵は剣を構え、王や大臣は姫を匿い、戦えないものは少しでも離れようと距離を取る。
勇者も、そんな彼らを見て、親しい友を亡くした悲しみと、また繰り返されるかもしれないという猜疑心…そして、忌々しいあの責めるような目に怒りを募らせて行った。
残りの人間は11人…
ナーガは膠着状態の陥りそうになっていた人間共を見てこう思う。
昔は、人間の命を奪う事に躊躇などしなかった筈だった。
なのに、今と来たらどうだろうか。
この人間共を哀れと思い、次の一手に戸惑っている己が居る。
こんな感情は初めてだった。
いや、もしかしたら見て見ぬふりをしていたのかもしれない。
本当は最初からはなかったのかもしれない。
しかし、本来はもしかしたらあったものなのかもしれない。
確信もないし、そんなものがあるのだとしたら、今まで自分が犯してきた罪はなんと重いものだろうか。
恐らく、ルシファー様の部下である我々3人は同じ気持ちがあるのだろう。
二人とも、暗く沈んだ顔をしていた。
これは間違ったことなのか?
私はこれでいいのか?
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