第5話ー直接対決

42/58
前へ
/207ページ
次へ
アラインは大昔だが、人間と深く関わっていた存在だった。 人間に裏切られたが、少しは良心の呵責もあるだろう。 ケインは人間に興味が止まないと言っていた。 人間の魂を見つめ続け、死後の旅先を案内していく。 そして私は、「魂」を集め喰らう存在。 だが、好き好んで奪うのは悪人や愚かな者のみだった… 本当に…殺してしまっていいのか… この者達を殺してしまって、我々は本当に「幸せ」なのか…? 様々な感情、見たことも思った事もない感情が溢れていく。 戸惑い、疑い、過ち…まるで人間のように迷う太古の魔物。 『愚か者共よ、俺の声が聞こえるか』 ナ「っ…!?」 突如ナーガやほかの2人の脳内に直接響いた、主となった偉大なお方の声。 『お前達は愚かだ。愚かで浅はかで愚鈍だ。何故人間のように悩む必要がある。お前達の主は一体誰だ。お前達は「幸せ」等という浅はかな言葉に何の意味があると思っているんだ。 本質を思い出せ。何者なのかを思い知れ。そして、誰に従っているのかを知れ。さもなければ、死ぬのはお前達の方だ。』 瞬間、彼らの決意は固まり、迷いは全てかっ切れた。 そうだった。 私達の意思は王の意思。 私達の意識は主の意識。 私達の思考は魔王様の思考。 迷う事は死を意味する。 漸く思い出したのは、恐怖の奥底にあるモノだった。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

294人が本棚に入れています
本棚に追加