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姫「ひぃっ…!!」
その笑顔は無邪気ながら、返り血を浴び、目は病んでいた。
勇「姫、大丈夫でしたか?姫の命を脅かす奴らは僕が全部コロシテあげますよ!」
そう言い、姫に抱きつこうとする。
普通の人間なら、恐怖でおののき、逃げるだろうが…この国の姫はどうやらくぐり抜けてきた修羅場が違うようであった。
姫「…っ…そ、そうか…わ、私は、殺さないんだな…!わ、わたしの傍にずっといるのだな!」
半分狂ったかのような瞳で勇者の抱擁を受け入れるシュラン姫。
そしてナーガは、最後の仕上げを、己の役割を果たした。
勇「姫様は…ずっと、ずーっと僕と居てくださいね!」
姫「あ、当たり前ですわ!なにが、何があろうと私はっ…ぁ、ぁあ…?」
ーズリュッ…
勇「え…?ひ、め…?…あれ?」
ナーガは勇者の中にあった魂の欠片だけを操作し、その大きな剣を持つ手を動かしてやった。
胸の真ん中、抱きつこうとする反動を利用して姫に突き立てたのだ。
深々と根元まで突き刺さり、コプっと口の端から粘着質な赤い液体が息とともに吐き出される。
勇「あれ?…なんで?え?」
言うことの聞かない腕と、現実が受け入れられない勇者は、目を大きく見開く。
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