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千晃が私の目を見て「好きだ」と言ってくれるまで、一年かかった。彼の視界に入るために色んな努力をした。他クラスまで毎日通って、友達に根回しをして、偶然を装うために昇降口で千晃の姿を待ち続けるなんていうストーカーまがいなことまでした。
その努力があって、今の私たちがいる。恋ってそういうものだ。
距離が離れているから終わるものでもなければ、傍にいるから始まるというものでもないはずだ。きっと。
きゅっと、指先に力をこめる。
千晃の指はだらんと力が抜けたままだった。
雨でけぶる並木道は、千晃の目にどう映っているのだろう。
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