第1章 solitaire

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2    「朴念仁」と。  そうコーネリアスに評されたとおり、ユージーン・マクラクランは、学園では「偏屈者」、「変わり者」とみなされている節がある少年だった。  だが、彼とて特段に社交を忌み嫌っているわけではない。むしろ、誰に対してもわけ隔てのない態度をとる人間だ。  ただしユージーンは、「場の雰囲気」というものや「序列」というもの――すなわち、あらゆる「周囲の思惑」というものから、まったく無縁の存在であった。  おそらくは彼自身が、自ら努めて「そうであろう」としていたのだろう。  すなわち、ユージーン・マクラクランという人間はある意味、孤高の存在だったのだ。  学業は優秀。  スポーツも決して不得手ではなく、体格も優れている。それどころか、ユージーンは、学内では最も長身の少年だった。  こげ茶というよりもさらに深く濃い髪色、そして黒曜石の瞳は、彼を年齢よりも大人びた姿に見せている。  つまり「偏屈者」という呼び名は、ユージーンを馬鹿にするものではなくて、むしろ「近寄りがたい」といった意味に近かった。     
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