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“出会いを求めて・・・その2”
水曜日。
ママに強制的に外へ連れ出された私は、山登りをしている。
「ねえママ、どうして山登りなの?」
「街になんか出かけたら、すぐファンに囲まれちゃうでしょ」
ママは、私のファンは山登りなんかしないと思っているらしい。
それって失礼だと思うけど・・・。
「ちょっと休憩しましょ」
「さっきしたばっかりじゃない!」
「そんなこと言ったって、喉渇いたんだからしょうがないでしょ!」
「水ばっかり飲んで、お腹壊しても知らないよ」
「大丈夫よ。ほら、カメラ持って」
ママからカメラを受け取った私は、イタズラ心が湧いてママにカメラを向けた。
「ちょっと、私を撮ってどうすんのよ!」
「アイドルになりたかったんでしょ。たまには撮られる側になったっていいじゃない」
「恥ずかしいからやめて。おばさんが水飲んでるところなんか誰も喜ばないんだから」
「ねえママ、ここに私のファンはいないけど、私たちしかいないわよ」
「そうなのよ。おかしいわね、山登りが流行ってるから人がいると思ったんだけど・・・」
「もう帰らない?なんか曇ってきたし」
「そうね・・・ママ、これ以上、歩けないわ。ほら、カメラかして」
「誰もいないんだから、撮らなくてもいいんじゃない?」
「油断しちゃダメよ!いつ、運命の人と出会うか分からないんだから。さっ、降りるわよ」
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